待ちに待った焙煎機が届いて間もなく、というか2日目のことだった。いきなり故障した。ろ、60万円。いや、故障はどの機械にもある、修理に出せばいい。ただ、直近に10kgの大量納品が控えていたので、めまいが...。とにかく復活させないと色々空中分解してしまう。
機種は富士珈機さんのコーヒーディスカバリー。小型ながら本格焙煎ができ小回りのきく優れた焙煎機。名機。いや、日本の宝。国宝である。
ロースター COFFEE DISCOVERY ++ フジローヤル コーヒーミル・焙煎機 株式会社富士珈機
ことの顛末、結論から言うと、故障はなおって正常運転している。色々焦ったし、ネット上に同様の故障に関しての記事もなかった(それだけでも故障しにくい名機たる所以)ので残しておきたいと思い筆をとった次第です。
川口工場からダンボールに梱包搬送され、組み立ては顧客。丁寧な組み立て説明書通りにすれば本格焙煎機が組めるようになっている。修理時に輸送用の箱として必要だから取っておけ、との指示通りに取っておいた(こんなに早く必要になるとは思っていなかったのだが)。
焙煎初日、問題なく稼働。高鳴る気持ちと、これから何十年とともにするパートナーを迎えた気持ちで胸が高まった。
問題発生
問題の焙煎2日目。5バッチを焼き終え、冷却機を稼働させ、釜の扉を開けた。焼き上がった200度近い豆が勢いよく飛び出し、ピチピチとはぜている。プロペラで撹拌されながら熱が吸い取られていく...はずだった。突如プロペラが停止。異音もなく静かに、何かがプツンと切れたように。
冷却機から豆を手動で取り出して、考えうる限りの問題を潰していった。
➊電源リセット
➋本体部との接続問題
➌プロペラへの異物
➍プロペラモーターの異変
➎ヒューズ
➏時間差
➊電源リセット
スーファミもゲームボーイもプレステもiPhoneも1度リセットするとバグがなおることがある。結果なおらなかった。
➋本体部との接続問題
冷却機は本体から電源と電気信号を受けている。接続部分は三菱のように3つの差し込み部分がある特殊なプラグ。焼き切れたような形跡はなかった。コードにも異常はなかった。
➌プロペラへの異物
焼き上がった豆の中に石など硬い異物があったら、プロペラと冷却機の間に挟まるという可能性もなくはない。が、なにも挟まっていなかった。
➍プロペラモーターの異変
冷却機は上部の金属部分とモーター、下部は冷却箱と排気につながるパイプからなる。上部をとりはずしプロペラを回転させるモーターを触ってみると、かなり発熱している。触らないくらい熱い。モーターが熱でイカれてしまった、というのが1番の予想になった。
温度を1度下げて再稼働を試みるがうんともすんとも言わなかった。
そもそもプロペラはコーヒー豆を撹拌するためだけのものなので馬力はあまり必要ない。ただ、冷却機は本体と隣接しており、連続焙煎していると冷却機全体に熱が伝わっていく。モーターが高温になるのもわかる。
モーターが故障してないにしても、何回まで何時間まで連続焙煎してもいいのだろうか?という疑問も浮かんできた。結果は後述します。
➎ヒューズ
焙煎機本体の接続部分にヒューズが2つ付いている。異変はなかった。ヒューズが落ちる場合は他の電源も落ちる、とのネット情報があり、そんなことはなかったのでヒューズが飛んだわけではなかった。
メーカー問い合わせ
自力での解決は無理と判断し、翌日メーカーに問い合わせをしました。状況をメールすると、
「冷却器と本体をつなぐコネクターを抜差しして動作確認してください」
「動かない場合は短時間でいいので動画を撮って送ってください」
とのことで、動かないことが確認済みなので動画を送りました。次に、
「冷却スイッチをオンにしたまま、攪拌の羽根を手で回して動かしてみてください」
とのことで、全く動きませんでした。ここでメールのやりとりは切り上げて、本体と冷却器すべてを工場に送って修理する流れになりました。
土日を挟み運送会社に集荷を頼みました。40kgもあるので持ち込みはきついので。
時間を置いて
➏時間差
いよいよ集荷日前夜となりましたが、なんだかおかしい気分。何もしてないのに焙煎機って壊れるもんか?何十年と使い倒してるロースターがいっぱいなのに...おかしくないか?という心のザワザワ。
もう一度試してみよう。コネクターを指して冷却スイッチオン。
.............
動かない。
明日修理に出すんだから、思いっきり羽根まわしてみるか...と前回恐る恐る回そうと試みた羽根をギュッと大人の力で時計回りに力を入れました。
ぐぅ〜、うぃ〜ん
きらきらと光を反射しながら回転を始めました。
異物があったわけでもなく、モーターがバグっていたのかわからず、でも動き出した瞬間正直圧倒的安堵で包まれました。家族もよかったよかったと平和が訪れた次第です。
報告
回復したことをメーカーにメールしました。同時に同様の故障(バグ)がよく起きるのか、連続焙煎の時間制限はあるのか、と言うことを聞きました。
同様の故障は稀とのこと。
連続焙煎についてメーカーは制限を設けていないとのこと。ただし、長くなればなるほど負担がかかるので消耗品の交換が早くなるとのことで、しっかりメンテナンスをして欲しいとのことでした。
まとめ
今回故障っぽい症状でしたが、冷却スイッチをオンにしたまま、かなり強い力でプロペラを回した結果何かの拍子にモーターが回りはじめました。あんまりよくわからない状態でしたが、もし同じような症状が出た人がいたら本記事が少しの心の安定になればなと思い書かせていただきました。最後まで読んでくださりありがとうございました。迅速に対応してくださったメーカー様にも感謝です。また焙煎生活を楽しんで美味しいコーヒーを焼いていきたいと思います。
ロースター COFFEE DISCOVERY ++ フジローヤル コーヒーミル・焙煎機 株式会社富士珈機