いまむうブログ

ほぼノンフィクション。面白さは保証できません。

#1 福岡へ出陣

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山口県徳山駅。新幹線のぞみ博多行き。14:49。

僕はスーツケースを引きながらガラガラの二列シートに腰を下ろした。ベルが鳴るホームに向かって、おんぶ紐のお母さんと野球帽をかぶった少年が手を振っている。母親の田舎にでも帰っていたのだろう。和やかなお別れに見えた。

 


4年お世話になった会社を辞め、今博多に向かっている。約1時間の旅だろうか。せっかくなのでいつもの即興ブログでも書こうと思いiPhoneのメモ帳にそこはかとなく親指でタップしている次第である。

 


なぜ博多なのかという疑問にまずお答えする。バイトの面接だ。春水堂という台湾発のタピオカ屋さんに行くのだ。1つの疑問に答えたばかりだが、新たに3つの疑問が浮かんできてしまった。1つ目の疑問、春水堂は「シュンスイドウ」とは読まない。「チュンスイタン」と読むのだ。読めるかよ、と面接官が目の前にいたら言いたい気分だ。いや言っちゃダメだ。2つ目の疑問、なぜタピオカ屋さんを選んだのか。ちょっとヘビーな疑問だが、簡単に答えるとタピオカ屋さんを自分でやってみたいからだ。起業だ。3つ目の疑問、なぜバイトなのか。そんなに長くは腰を下ろさないつもりだからだ。これで全疑問にお答えできただろうか。まぁ、できていないんだが先へ進むことにする。

 


山陽新幹線は直線にレールを通すために山の中をブチ抜いている。トンネルばっかりだ。田園風景かと思ったら、轟音とともに真っ暗に。筒を抜けるとパッと明るくなる。文章を書くにはちょうど良いリズムを作ってくれる。時より窓に反射する自分の顔はどこか強張っていて目が充血している。実家に帰ってきていた姪っ子の相手を深夜までしていたのだ。いや正確にいうと、午前3:00、「あちゅい、あちゅい」と目を覚ました4歳の彼女に付き合っていたのだ。クーラーの温度を27度から25度まで下げたが一向に寝る素振りはない。もうこうなったらトコトン付き合ってやると彼女を目の前に座らせた。足の裏に熱がたまってたので、洗面台の上に立たせて、冷水のシャワーを膝下に数分かけた。キャッキャ言って喜んで、まもなく彼女はスヤスヤと寝た。結局朝9時くらいまではうんともすんとも動かないくらいに熟睡していた。

 


なんの話をしているのだろう。まあ、そのまま続けよう。彼女を寝かしつけた3:30。僕は逆に目が覚めてしまった。kindleを開き、えらいてんちょう著の『ビジネスで勝つネットゲリラ戦略』という本をダウンロードした。持たざる者がゲリラ的にどのように立ち回っていくかということが、彼の体験を題材に書かれていたわけである。

 


小倉に着いた。少しだけ都会っぽい。すこーしだけである。さっきの親子は降りていった。博多まであと一駅。この文章はどうなってしまうのか。まあやってみなきゃわからない。面白いことが書けるかもしれないし、このまま低空飛行をして読者の貴重な時間、すなわち人生をいたずらに浪費してしまった、なんて結果にもなりかねない。というかなる確率が高い。損切りをするなら今かもしれない。

 


いっぱい人が乗ってきた。一駅で新幹線乗る奴なんてロクな奴らじゃないだろう。さて出発。

 


バイトには写真だけ持ってきてくださいと言われた。福岡でとりゃいいだろう、と思っていたが甘かった。適当に家を出たらかなりギリギリの便しかなかったのだ。まあ間に合えばいいし、写真などなくても頭を下げて後日でもいい。ただ、出発まで40分というとてつもなく間の抜けた時間に駅に到着してしまったのだ。田舎の徳山駅にだって、探せば証明写真の機械くらいある。40分もありながら、写真を撮っていかないなんて人間じゃない。ゴキブリ以下だ。適当にシャッター商店街をガラガラと重たいスーツケースを引いた。運良く5分程で見つかった。ここでびっくりした。料金が6枚綴りで1000円なのだ。まじかよ。時給800円くらいのバイトのために、1000円の写真ってどうゆうことだよ。ありえねー。物価の上昇を肌で感じるしゅんかんだった。設定して写真を撮り印刷画面に進んだ。またびっくりした。普通1000円、美肌加工1200円。というボタンが出ているわけである。こんな密室で機械に足元を見られている感覚だった。後出しじゃねえかよと脳裏に仮想面接官の笑顔がよぎった。すこし迷った。美肌を押した。博多についた。

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